高画素・高解像の恩恵
私が今回ライカSL2を選んだ目的は前述の通り、有効画素数4,730万を体験してみたかったからです。
大判プリントに耐えるほどの精密な描写を得られるのが高画素機の利点の一つでありますが、私個人としては、どこまでトリミングに耐えられるかにも非常に興味があったのです。
では実際、ライカSL2の撮影画像はどれほどの解像度だったのでしょうか。
例えば下記画像、元のサイズは約46,000ピクセルほどですが、こちらを1/4程度のデータ量までトリミングしてみます。
トリミング後↓
許容できる範囲は人によって差があると思いますが、この程度のトリミングであれば、私はA4判プリントでも画質面の問題はないと思いました。
トリミングは高画素の優位性を打ち消しかねないものであり、もちろんソレ前提の撮影は行うべきではありません。
ですが、例えば余白を取る必要のある素材撮影などにおいて、画質の低下を恐れず余裕を持って撮影ができることは大きなメリットとなるでしょう。
また、私のようにモデル撮影に慣れていない人間にとっては、撮影後に構図変更を行う余地があることは非常にありがたいことなのです。
写真は単純に画素数で語れるものではありませんが、画素数が多くて困ることはほぼありません。
高画素機は高感度ノイズが多くなるとか、データ容量が大きくなるとか、もちろんネガが部分もありますが、そのほとんどは設定(目的に応じて記録画素数の変更)や工夫(明るいレンズや三脚を使用する)でクリアできるものばかりです。
少なくとも私は、ライカSL2の4,730万画素を体験できたことに大満足でした。
写真は画素数が全てではありませんが、高画素であることで、表現できる写真の幅が広がるということを身をもって知ることができたからです。
ダイナミックレンジの広さ
ダイナミックレンジの広さは、主にセンサーサイズに左右されると言われますが、ライカSL2の階調表現の豊かさは格別でした。
一例として、下記画像をご覧ください。
こちらはRAWでの撮影後に未調整でJPEG変換した画像ですが、影は黒く潰れ、光の当たった看板は白く飛んでいるように見えます。
試しに暗部を持ち上げ、明るい箇所のトーンを落としてみます。
暗部や光が当たった箇所など、全てのデータが生きていることが分かります。
上のような不自然な写真に仕上げる必要はありませんが、明暗差の激しい場面でも気兼ねせず、様々な表現が可能となるのはとても心強いものです。
ライカSL2のダイナミックレンジの広さを活かして、風景や街角を隅々まで写し撮ってみたいですね。
感想
体験会を通じ、ライカSLシステムは「ヒトに寄り添った超高性能カメラ」だと感じました。
余計な「機能」は搭載せず、ひたすら撮影のための「性能」に特化したカメラという印象です。
超高性能機ではあるものの、手にフィットするボディデザインと重量バランス、そしてダイアルやタッチパネルを用いた操作性の良さが、ヒトとカメラの距離を自然と縮めてくれるのです。
SLボディ・レンズ群は高価なモノでありますが、使っているうちに身体に馴染み、肩肘を張らずに扱うことのできるカメラだということに気が付きます。
今回は3本のSLレンズ(+Sレンズ1本)を用いて撮影を行ったわけですが、標準ズームレンズの性能の高さには特に驚かされました。
ズーム全域でとにかく写りが良い!
広角から中望遠にかけての妥協のない描写に、撮影の最中「レンズ交換の必要がないんじゃないか?」と本気で考えてしまったほどです。
ポートレート撮影はもちろんのこと、旅行やスナップなど日常使いにもどんどん持ち出したいと思える、非常にハイレベルな万能レンズなのです。
レンズ交換式カメラにおいて、今まで私は単焦点レンズを好んで使用してきましたので、この感想には自分でも驚きでした。
う~ん…SLボディと標準ズームレンズをセットで欲しい(笑)
SLシステムの光学性能の高さと、M型ライカとはまた違うベクトルでのデジタル技術の進歩を目の当たりにできる、とても素晴らしい体験会でした。
最高の時間を過ごさせていただいたこと、ライカ銀座店の関係者の皆さま、スペースクラフト・エージェンシー株式会社とモデルの横川莉那さまに、この場を借りてお礼申し上げます。